給与所得者の副業―税法上どのように扱うか―
2022/10/15

 国税庁がパブリックコメント(意見募集)を行っていた所得税基本通達の改正案では、

 給与所得者の副業に係る所得等について、

 収入金額が300万円以下の場合、

 原則として「事業所得」ではなく
 「雑所得」で取り扱うことが示されましたが、

 7000件を超す意見が寄せられた結果、

 改正案を修正した通達が公表されました 


 本業か副業かは問わず

 「記帳・帳簿の保存の有無」によって、

 事業所得と業務に係る雑所得とするかを判定する!

 という画期的な内容になりました。


 事業所得の節税メリットとは、
 青色申告特別控除(10万円、55万円、65万円)という特典を利用することにより課税される所得を圧縮することができることを指しています。

 雑所得にはこうした特典がありません。

 具体的には、「事業所得と認められるかどうかは社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかで判定する」ことを原則としつつ、

「その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合は、業務にかかる雑所得に該当する」としました。


 ただし、帳簿書類を保存している場合でも収入金額が僅少である場合や、所得を得る活動に営利性がない場合は個別に判断することとなります。

 一方、記帳・帳簿の保存をしていない場合は、原則として事業集として認められず、業務に係る雑所得に区分されます。

 


申告期限までに遺産分割が出来ない場合
2022/09/30

 相続税は、相続等により取得した財産の価額(債務などを控除し、相続開始前の贈与財産の価額を加算)が、基礎控除「3千万円+600万円×法定相続人の数」を超える場合に課税対象となり、被相続人が死亡をしたことを知った日の翌日から10か月以内に申告・納税をすることになっています。


 お亡くなりになった方が遺言書を残していなかった場合、相続人間で遺産分割協議を行って取得する財産を決めます。


 この遺産分割協議がすんなりいかない、すなわち「揉める」場合でも申告期限までに申告を行う必要があります。

 すなわち、未分割でいったんは申告しなくてはなりません。
 
 具体的には、法定相続分に従って、各相続人が相続したものとして相続税を計算して申告を行います。
 

 申告後に遺産分割が行われ、その内容がすでに申告した内容と異なる場合には、
 実際に分割した財産の額に基づき、修正申告(不足税金を支払う)または更正の請求(納めすぎた税金を返してもらう)を行うことになります。
  

 相続税を減額できる特例(配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例)を使うために、当初の未分割で行なう申告書には「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付することが必須です。

 これを忘れると特例は使えませんので、注意が必要です。


 相続税申告は時間との闘い!細心の注意が必要です。





令和4年4月から施行される主な税制 
2022/05/16

 賃上げ促進税制が以下のように拡充されました。

  
 給与等支給額が増加した場合の税額控除制度について、

 令和4年4月以後開始事業年度(個人事業は令和4年1月にさかのぼる)から以下のように拡充されます。


 資本金1億円以下の企業等について、

 雇用者全体の給与等支給額が前年度比1.5%以上増加した場合に増加額の15%

 前年度比2.5%以上増加した場合は30%の税額控除となります。


 教育訓練費が前年度比10%以上増加している場合には税額控除率に10%を加算できます。


 税額控除額の上限は、法人税額または所得税額の20%です。


 なお、この場合、給与等に充てるため他の者から受け取る金額、

 例えば、

 雇用調整調整助成金、キャリアアップ助成金(正社員化コース)などの給与に充てる助成金を受け取っている場合はこれを除外します。

 雇用安定助成金は例外的に含めます。

 活用ください。



  
 

令和4年1月から適用となる主な税制
2022/01/19

電子帳簿保存法の見直し

令和4年1月1日施行の『電子帳簿保存法』。

政府の準備不足から、企業の経理担当者でも知らない人が多いとされた『電子帳簿保存法』は、さっそく見直しです。

パソコンなどで作成した帳簿書類(電子帳簿等保存)や、紙で受領したり作成した領収書等を画像データで保存(スキャナ保存)について、事前承認が不要となり、要件が緩和されました。 

 メールに添付する請求書や領収書などの取引情報の授受も、一定要件のもとでデータ保存が必要とされていますが、令和5年まで紙での保存も認める経過措置が設けられています。



セルフメディケーション税制の見直し

 特定の医薬品について、健康検診や予防接種などの「一定の取り組み」を証明する書類の添付を条件とした『セルフメディケーション』税制。

購入費用が1万2千円を超す分について所得税の控除が受けられる税制です。

令和3年分の確定申告から「一定の取り組み」の証明書類は不要となり簡素化されます。



ふるさと納税の申告にかかる添付書類

 ふるさと納税を確定申告で行う場合、令和3年分から寄付先ごとの受領書に代えて、ふるさと納税仲介サイトが発行する「寄付金控除に関する証明書」の添付が可能になりました。
   




消費税税制の根幹を変える!インボイス制度
2021/11/03

1. インボイス(適格請求書等)って何?
 インボイス(invoice)とはもともとは(荷物の)送り状の意味ですが、
 この度、日本でも導入される消費税のインボイス制度におけるインボイスとは「適格請求書等」という意味です。

 このインボイスという請求書等がないと、消費税の課税仕入れが出来ない、という重大な影響を及ぼす制度です。
 インボイス(適格請求書等)の保存が仕入税額控除の条件となり、しかしながら、だれでもインボイスを発行できるわけではありません。

インボイスを発行するためには所轄税務署長に「適格請求書等発行事業者の登録申請書」を提出し、「適格請求書発行事業者」にならなくてはなりません。

 インボイス(適格請求書等)に、記載しなくてはならない事項は次のとおりです。

@ 請求書等の発行者の氏名・名称  A 登録番号  B 取引年月日 
C 取引内容 軽減税率対象品目である場合はその旨
D 税抜取引価額または税込取引価額を税率ごとに合計した金額 
E Dに対する消費税額および適用税率
F 請求書等受領者の氏名又は名称 (小売業や飲食店業については省略できます)

2. 登録申請のご案内
  適格請求書等発行事業者に認定されると、事業者登録番号および発行事業者の氏名や名称が国税庁ホームページで公表されます。この事業者登録番号を請求書に記載しなくてはなりません。事業者登録番号のない請求書では仕入税額控除が出来ません。
必然的に、適格請求書等発行事業者以外からは商品を購入しない・サービスを受けない、というような取引中止となる事態を招く可能性が大きいといえます。

インボイス制度(適格請求書等保存方式)は、2023年10月1日から運用開始となります。

これに先立ち、「適格請求書等発行事業者の登録申請」の受付が、今年2021年10月1日から開始されます。

 まだまだ時間があるとのんびりしておられません。


3. 注意が必要な事業者の皆様へ

 消費税の基準期間(2年前の事業年度)における課税売上高が1000万円以下の免税事業者は登録申請ができません。

 免税事業者であってもインボイス(適格請求書等)を発行する必要がある事業者の皆様におかれましては、まず、消費税の課税事業者選択届出書を提出し、課税事業者となった上で、適格請求書等発行事業者の登録申請を行うことになります。

 こうして初めて「適格請求書発行事業者」としてインボイスを発行することができます。

 そもそも免税事業者が消費税を受け取ることは消費税の仕組みでは予定されておりません。

 しかし現実の商取引では、免税事業者でも外税で消費税を受領しているケースもあります。

 インボイス制度(適格請求書等保存方式)の運用が始まってからは、免税事業者が消費税相当額を記載した請求書・領収書など書類を発行した場合は、罰則規定が適用される模様です。

 
 免税事業者の皆様は適格請求書等発行事業者となるかどうかの検討が必要です。

 また、取引先が免税事業者なのか課税事業者なのかが分からなかったために免税事業者への支払いをこれまで課税仕入としてきた事業者の皆様においても、今後難しい判断を迫られることになるでしょう。

 たとえば、会社の建物や駐車場などを借りていた場合、課税仕入れとして会計処理を行ってきた事業者も免税事業者からの賃借であれば、課税仕入れとすることが出来なくなります。

 一方、顧客が一般消費者のみの場合は必ずしも適格請求書を交付する必要はありませんが、顧客に法人などの消費税の課税事業者が含まれる場合は検討が必要となるでしょう。

4. 鳥居税務会計がサポートいたします
 消費税制度の根幹を変えるような重大な制度といっても過言ではありませんので、慎重な判断が必要です。

 弊事務所も個々のお客様の状況を検討し、必要に応じ登録についてアドバイスさせていただく予定でおります。
 
 詳しい情報は、今後も鳥居税務会計事務所だより(FAX通信)などで随時ご案内してまいります。




8月から適用開始となる主な制度
2021/08/09

 中小企業の経営者の皆様へ

 
 8月から適用開始となる制度から1つ選びご紹介します。

 

 
 業務改善助成金の特例的な要件の拡充


 業務改善助成金とは、

 中小企業が事業場内最低賃金を一定額以上引き上げて、
 生産性向上のための設備投資を行った場合に

 費用の一部を助成する制度です。

 拡充された特例は、
  
   @ 「賃金増額45円コース」の新設


   A 同一年に2回申請できる
 
 です。

  
  さらに特に業況の厳しい事業主 

 (新型コロナウイルスの影響を受け売上等が前年または前々年比30%減の事業主)

 に対しては、



  @  賃上げ対象人数「10名以上」の区分を増設
  
  A  助成上限額を450万円から600万円に拡充

  B  賃上げ額を30円以上する場合には、生産性向上に資する自動車やパソコン等を補助対象に拡充する


 というものです。

 
 該当される経営者の皆様は、是非活用下さい。



教育資金の一括贈与 ―令和3年4月からの改正点―
2021/05/28

 両親や祖父母から30歳未満の子や孫に対して、教育資金を一括して贈与する場合に、
贈与を受ける者(受贈者、信託受益権を得た者)ごとに1,500万円まで非課税とする優遇措置があります。


 この教育資金の一括贈与は、贈与者にとっては自己の相続財産から当該贈与金額が外れることから、相続対策として利用されてきた面があり問題が指摘されてきました。


 この度、令和3年度の税制改正で一定の改正がなされました。


 改正点を説明します。


 1 贈与者が、信託をした日から教育資金管理契約完了までに死亡した場合、
 死亡までの年数にかかわらず、その死亡日の残額を、受贈者が贈与者から相続等により取得したものとみなされ、相続税がかかることになりました。

 改正前は、相続開始3年以内の残高に限り相続税の対象となっていました。

 ただし、例外があり、受贈者が23歳未満である場合、学校などに在籍している場合は相続税はかかりません。


 2 受贈者が贈与者の子以外である場合、例えば孫は、残額について相続税の2割加算が適用されます。


 3 教育資金の対象に、1日当たり5人以下の乳幼児を保育する認可外保育施設のうち都道府県知事から一定の基準を満たす旨の証明書の交付を受けたものに支払われる保育料等が加わりました。
 
 

子供たちに相続を揉めさせない親の役割
2021/04/23

 きょうだい(兄弟姉妹)は他人の始まり

 という言葉がありますが、相続の手続きではこの言葉を実感することがあります。


 「センセイ、きょうだいもお金がからむと変わるのです。人間って怖いですね」
 
 「他人よりもっと関係が悪くなります。つらいです」

と、先日お客様からお気持ちを伺いました。


 このお客様は、すでに相続税の申告を十年ほど前に済ませ、数人のきょうだいと、数字上は全く等分に親の財産を相続された方です。


 にもかかわらず、未だに苦しんでおられます。お話を伺いお気持ちを察し、できる限りのアドバイスを差し上げました。


 相続財産が金銭だけなら均等相続は確かに可能でしょう。

 が、土地・建物の不動産が相続財産に含まれる場合は、真の均等というものはあり得ません。


 たとえば、土地を測量し、均等の面積で分筆し、きょうだいでそれぞれ相続しても、それらはまったく同じ土地ではありません。
 
 不満が生まれても致し方ありません。
 

 よくある揉めるケースの例をあげましょう。

 父親はすでに死亡しており、この度、母親が亡くなり相続が発生した例です。


 相続人は長女と次女の2名です。次女は母親と母名義の土地・建物(居住用不動産)に同居しています。


 評価額は6000万円、預貯金が2000万円あります。


 次女は自分が住んでいる居住用財産の取得を望みます。

 一方、長女は均等に1/2ずつ平等な分割を望んでいます。


 すなわち(6000万円+2000万円)÷2=4000万円相当の財産の取得を長女は望みます。


 長女、次女ともに言い分はあると思いますが、揉めることが必須なケースです。


 こういう揉めるケースを見ていくにつけ、「親の役割」の大切さを思います。


 私のお客様の例をあげますと、上記の例のように揉めるケースになりかねない相続人の皆様が、なんとか円満に相続税の申告までやり遂げている場合に共通しているのは、「親の言葉」です。


  「きょうだい仲良く」


 常日頃から子供たちに言い聞かせ、「相続で揉めてはいけないよ」とも言い続け、

 平等に子供たちを慈しんで育ててきた親御さんの言葉は、ともすれば利害が衝突する危機を回避させているように思われます。


「きょうだい仲良く」を言葉に出して、子供たちに伝えていくことを「親の役割」として肝に銘じ実行していけば、これこそ最強の相続対策の一つになるのではないでしょうか。



相続対策の落とし穴
2021/01/30

相続税の申告作業でもっとも難しく専門知識を要するのが、土地の評価を含む財産評価です。

 平成27年に相続税の基礎控除が引き下げられたために相続税を納めるべき納税者のすそ野が広がり、私たちに身近な税金となりました。
 とはいえ、相続は一生で何度も遭遇するものでなく、いざ相続発生となって慌てることのないよう相続対策は大変重要です。
 
 相続対策はお客様の立場に立てる専門知識の豊富な税理士に相談しアドバイスを得てほしいと思います。

 近年、相続対策はビジネスチャンスであると考える不動産会社、建設会社、銀行などが首都圏の地主に猛攻勢をかけています。
 困惑するほどの攻勢ぶりです。

 借金してアパートを建設すること、東京や横浜のタワーマンションを借金して買うことを勧め、いかに相続税が安くなるかを説明します。

 うかうかこういう話に乗ってはならないことを、お客様の事例から感じる昨今です。


 この数年、行き過ぎた相続対策を行ったために、国との争いで納税者敗訴の判決が続いていることも知っておきましょう。

 裁判で負けた納税者は、評価の方法を違法に行い申告したわけでなく、国税庁の求める方法に沿って土地建物の評価を行っていました。

 少々専門的な話になりますが、
 財産の評価は「時価」で行うこととなっています。
 
 が、法律(相続税法)には「時価」とは何か、を明示していません。

 財産評価が難しい所以です。

 実務では、国税庁の出す「財産評価通達」で「評価の原則」が述べられており、この中で

「時価とは、・・・その価額は、この通達の定めによって評価した価額による。」


 相続税の財産評価をめぐって国に裁判に負けた納税者の一例を紹介します(東京高裁令和2年6月24日判決)。

 この納税者は、財産評価通達を逆手に取りました。

 相続開始3年半前に都内の共同住宅を8億3700万円で購入し、金融機関から6億3000万円を借り入れました。

 さらに相続開始2年半前に神奈川県の共同住宅を5億5000万円で購入、金融機関などから4億3400万円の借り入れを行いました。

 そして、被相続人は平成24年6月に死亡し、
 相続人は国税庁の定める財産評価基本通達で相続税を申告しました。

 この評価方法が、著しく不適当と所轄税務署長は判断し、不動産鑑定評価額で評価した価額で更正処分をしたのです。

 この処分を不服とし納税者が訴えましたが、納税者が負けました。


 国は、「財産評価基本通達6」を用いました。


 相続実務を担うものとして納税者敗訴の事例は見過ごしえない事例です。相続対策の落とし穴ともいえ、さらに研究していく必要があると認識しました。




 

 

社宅の税務と家賃給付金
2020/11/05

 売上の減少に直面している中小企業、小規模事業者などで土地建物の賃料を支払っている場合に、
「家賃給付金」の申請がお済みでない方はぜひ活用ください。


 すでに、家賃給付金は9月6日までに約43万件が申請し、約9万2千件に給付が行われています。


 給付金を受けられる売上条件は次の通りです。


 2020年5月から12月の売上が、


・1か月で前年同月比▲50%以上減少している


・連続する3か月の合計が前年同期比▲30%以上減少している

 いずれかに該当する事業者です。


 さて、役員等(役員と従業員)に対して社宅を貸し付けている場合についての税務と家賃給付金については、以下のとおりです。

◇法人が、役員等から一定額の賃料を徴収していれば、基本的には役員等に給与課税はされません。


◇ただし、給与課税とならないためには、賃料の金額が適正でないとなりません。

 床面積が240u以下の小規模な住宅を法人が借り上げ、役員等に貸し付けている場合は、
 
 (A) 固定資産税の課税標準額から計算し算出する

 
 (B)家主に支払う賃料の50%の金額を徴収している

 

 (A)と(B)のいずれか多い方を徴収していれば問題がありません。

 
 家賃給付金については、

 法人の確定申告で、地代・家賃として計上していれば、対象になります!

  転貸はNO、対象外です。


 借上げ社宅が給付対象になるか否かについて、コールセンターで「本人負担が生じている場合は給付の対象とならない」と誤った回答が行われ混乱を招きました。


 
 事業者が実際に支払う家賃と同程度の賃料を徴収している場合は「転貸」に該当し給付の対象外となりますので注意が必要です。