相続人がいない場合、遺産はどうなる? ―遺言書の重要性― | - 2025/05/01
- 近年、単身高齢者の増加により亡くなった方(被相続人)の財産を引き継ぐ相続人がいないケースが増えています。
最高裁の資料によると、「相続人不存在」すなわち「相続人が一人もいない状態」のため、国庫帰属となった財産は令和5年度に1千億円を超えています。
国のものとなるのなら、それはそれでよいのではとお考えになる方もおられるかもしれませんが、
財産が国庫帰属となるまでには、以下のような多くの時間制約がある厳しい手続きが必要になります。
@利害関係者や検察官の申立により家庭裁判所が「相続財産清算人」を選任する。
A相続人捜索の公告を出す(6か月以上)や債権申出の公告を出す(2か月以上)
@とAの手続きを経て、相続人が現れない場合は「相続人不存在」が確定します。
この「相続人不存在」が確定後に次の手続きが始まります。
被相続人の財産の分与を受けることができる方(特別縁故者)が、「相続人不存在」後3か月以内に家庭裁判に申立を行なうことができます。
特別縁故者とは、被相続人と同一生計であった方、被相続人の療養看護につとめた方や特別の縁故があった方などを指します。
家庭裁判所の判断で、これら特別縁故者へ財産分与を行います。
特別縁故者への財産分与を行った後の残余財産が国庫に帰属することになります。
相続人不存在の場合は、ご自分の意思を遺言書で残していれば、特定の個人や団体に財産を渡すことができ、幸せな人生の完結となるのではないでしょうか。
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